| 異種格闘技が地下闘技場の最大の魅力。しかしルールを統一すると有利不利がでる。そのため、両者の競技で、二度勝負をする。普通の競技と違う所は、審判は観客であるということだ・・・
現役横綱の鳳凰が今日始めてこの場所に立った。190cm、170kgの恵まれた体躯と洗練された技で大横綱として君臨している。その相手が、あろうことか女子プロレスラー。鳳凰の心中は当然穏やかではなかった。どんな女が現れようと完膚なきまでに叩き潰し、現役横綱の相手に女子プロレスラーなどあてた事を後悔させてやる、と。 はじめの勝負は相撲。正に横綱のための勝負、のはずだった。先に土俵に上がっていた横綱の後から、相手が入場してきた。場内が一段と湧く。横綱はその姿を見て目を疑った。 あまりにも大きい。 身長は、軽く2mを超えている。マスク(?)を付けた顔は10台の女性らしくかわいらしい。そこまではまだいい。2mを超える超長身のその身体はとてつもなく太く大きな筋肉に包まれているのだ。 その腕はばかばかしいほど太い。横綱の太い太股ほどもあろうか。競技用のまわしからのびる足、特に太股は横綱の胴回りほどもある。逆三角形の上半身からあらわになった腹ははっきり8つに分かれており盛り上がっている。 スーパーレインボーミカ。もともとレスラーだったミカは、ロシアのレスリング選手に憧れ徹底的に自分を鍛え上げた。その結果その選手を楽にKOできるほどのこの身体を手に入れることになったのだった。 |
ミカの存在をよく知っている観衆の大歓声を受けてゆっくり土俵に上がるミカ。現役横綱をはるか上から見下ろした。驚きを隠せない表情の横綱の顔を見たミカは表情を緩める。
「だ、大丈夫ッスよ横綱。手加減してあげるッスから‥」 相手を気遣うミカの台詞に一気に横綱の顔が紅潮する。なめられているから当然といえば当然だが‥ 「手加減なんぞいるか!」 にこにこしながらしきりに入るミカ。殺意すら抱いて腰を落とす横綱。例え相手が巨大だろうが相撲で負けるわけにはいかない。 観客はさらに盛り上がる。まったなし。立ち会った。鳳凰は低い。ミカは軽く上半身をおこしただけだ。そのミカの腹を横綱の鋭いあたりが襲う。しかしミカは平然と受け、少し後ろに押されただけだった。鳳凰のぶちかましを楽々受け止めてしまった。 しかし、これは横綱もある程度わかっていた。これほどの巨体。重く、一気に押し出すには難しい。ここからミカのまわしを両手でがっちり捕えた。横綱の万全の体勢である。腰を落とし、出る。 |
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ここでミカは足を伸ばし、立ち上がった。今まで中腰の状態だったのだ。するとまわしの位置がどんどん上がった。まわしをがっちり掴んでいた鳳凰はそれに引っ張られ、どんどん上体が起き、腰が浮く。
これでは押せない。瞬時に鳳凰はその手をまわしからミカの左足にうつし腰を再び落とした。押し出せはしないがその巨体をぶざまに転がしてやると。 しかしそれと同時に鳳凰の頭上からミカの太い腕が伸び、その大きな手でまわしのうしろをがっちり鷲掴んだ。ミカの上腕の筋肉が盛り上がる。奇妙な浮遊感に鳳凰は青ざめた。 「ぃよっと!」 ミカのかけ声とともに鳳凰の身体が浮いた。ミカが片腕で170kgを持ち上げてしまった。バランスを失い思わずミカの太股にぶざまにしがみつき、宙に浮いた両足をばたつかせる鳳凰。笑い声がどっと起こる。 片手で鳳凰をぶら下げたミカは軽々と大きく上下にゆすった。 「いい重さッスね横綱。トレーニングにちょうどいい感じ・・ちょっと軽いかな〜・・」 揺さぶられるたびに横綱のまわしが食い込みあられもない状態になっていく。場内は爆笑となった。 完全に勝負は決まった。鳳凰はミカのトレーニング用のウエイトと化してしまったのだ。なんとか脱出しようと手足をばたつかせる鳳凰。しかしミカの剛腕を多少揺らすだけで、その姿はなんともみじめだ。 「お?そうするとちょこっと筋肉に効くッスよ♪勝負をあきらめないところは流石に横綱ッスね〜」 ミカの横綱いじりはまだまだ続く‥ |
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